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「自主避難者は自己責任」への抗議声明
――今村復興大臣は今すぐ辞任し、国は集団移住政策を行え――

2017年4月6日「Go West Come West!!! 3.11関東からの避難者たち」

私たちは3.11福島原発事故からの避難移住者です。主に関東地方からの避難者が関西で集まっており、それが事故の放射能被害の大きさを表しています。ここでは、私たちは4月4日に今村復興大臣が記者会見で「自主避難者は自己責任。裁判でも何でもすればいい」と発言したことに抗議します。そして莫大な数の避難者は全て国の責任であること、国の「帰還・復興」政策が被害の隠蔽と被害者の切り捨てであることを明らかにし、集団移住政策を要求します。

原発の自主避難者は、事故を起こした国家の責任

今回の暴言問題は、原発事故の目に見えない被害の責任を改めて見せてくれました。福島を始め日本中の全原発を作ったのは自民党政権です。どこの原発も反対住民を村八分にし、カネと脅しの工作で地域社会を壊し、機動隊の暴力と弾圧によって作りました。安倍政権、復興庁、福島県は、反対意見と戻らない住民の方が圧倒的に多くても、2014年から強制避難区域の解除を始め、今春に自主避難者の住宅支援を打ち切っています。彼らは「復興した」と漫然と主張しているのではなく、政策で福島への「帰還」を明確に強制しています。その結果、避難者は被ばく覚悟で帰還するか、避難先で家を追い出されるかの二択を迫られています。

原点を確認しましょう。国は放射能が人体に危険だからこそ、福島の住民を移住させました。今も福島原発は収束作業が続き、放射能が出続けています。汚染範囲は非常に広く、福島県の浜通りや中通りは強制避難区域並みの放射線量です。「除染」してもまた元に戻っています。深刻な土壌の汚染は全て無視されています。それらをおそれて避難する人々の生活を保障することが、事故を起こした国・東電や住民を守る地方自治体の責務です。しかし国は事故後に放射線量「SPEEDI」の数値を隠しました。年間許容線量を突然1ミリsvから20ミリsvに引き上げ、食品の安全基準も引き上げ、私たちに被ばくの強要を始めました。福島県の内堀知事も全てそれに従っています。

そのため、今や通常は100万人に1~2人しか出ない18歳以下の小児甲状腺がんが、福島県では184人も出ています。チェルノブイリ原発事故でも、5年目から重大な疾患が急増しました。「ただちに健康に影響が出る」段階に入っています。この状況を作った加害者は国であり、避難は被害者の当然の権利と選択です。今村発言と国・福島県の政策は、加害者と被害者を逆にすることが目的となっており、許されません。

また今村発言は戻る住民と対比して避難者を異端視しています。これが福島の人々を引き裂いた分断政策です。原発からの距離で保証を細かく分け、それも次々打ち切る。住み続ける住民や戻った住民にも何の保証もせず、汚染への不安と緊張だけを押し付け、避難者を裏切り者扱いさせる。それを利用して避難者をさらに孤立させ、公的な避難者と国の責任をゼロにする。こうした棄民政策を止めるために、今村大臣の辞任、自主避難者への住宅支援の継続、避難地域の再拡大を求めます。

被害は東日本全体に。今こそ集団移住政策を行え

福島県だけでなく、私たち関東在住者も大勢全国へ避難しました。福島県と直結した関東平野の北部、千葉県北西部、東京の東葛地区などで、福島県中通に匹敵する汚染が見つかり、関東全体に広がっています。私たちも事故がなければ関東で生活を続けていましたが、被ばくに恐怖と限界を感じたり、自身や子どもが体調不良になりました。今も関東に残る親族や友人に、若くしての大病や早くしてのがん死・突然死が増えています。避難者の一人の友人は、東京で37歳で末期大腸がんになり、放射能が原因にある、原発と東電を許さないと明言しています。詳細:https://radiationdamage311.wordpress.com/2016/05/08/ 今まさに死に抗っています。https://twitter.com/matudaira?lang=ja

しかし国は福島同様に何の被害情報も出さず、責任も取りません。避難に必要な住宅、仕事、コミュニティを一切用意しません。その中で福島の収束作業員や住民は、福島原発の崩落・再爆発という極限の危険に常にさらされています。関東の人々も自己判断を迫られるために、放射能の不安や避難の必要を全く話せなくなり、福島に近い厳しい分断を強いられています。

現在の放射線量では、日本政府が放射線政策のベースにしているICRPのリスクモデルを用いても、人口の集中する東京圏では大まかに毎年4400人のがん発症と1100人程度のがん死が予測されます。そしてICRPのリスクモデルには大きな過小評価があると言われており、それを是正すると、東京圏の致死リスクは毎年約9万人、50年間では260万人。人口4.5倍の関東圏全体の致死リスクは何と毎年約40万人、50年間では1200万人にも上るのです。それは私たちの直接の親族や友人・知人です。詳細:http://www.gowest-comewest.net/higai/watanabe20170326.html

関東在住者は約4千5百万人、東北地方と合わせると約5千4百万人。この膨大な人数に事実を伝えること、避難を保証することは、国にしかできません。国は2012年に原発汚染がれきの許されない全国焼却を行い被害者を生んだため、避難先も「絶対安全」とは言えませんが、国は少なくともあまりに過酷な東日本から住民の大規模な緊急避難を行うことが必要です。

それをせず、この事態を放置するならもはや「大量虐殺政策」としか呼べません。国がやるべきことは、長く大変な裁判闘争を被害者に強いることではありません。全ての人に避難の権利、いや「避難の必要性」を説明し実行することです。つまり不可能な自己判断と孤立を人々が迫られなくてもすむように、全ての被害者に住宅と仕事を用意し、地域・家族・学校・職場の今あるコミュニティが丸ごと移住できるようにすることです。チェルノブイリ事故時に、旧ソ連政府が最低限行った政策です。

場所はあります。私たちは3.11震災当日に首都圏で数百万人の「帰宅困難者」が生まれたため、東京都庁などの各自治体庁舎、ターミナル駅、学校、企業が終夜解放されたことを経験しています。事態は今も同じです。国が西日本や北海道で同じことを行えば、全ての人がまず一時避難できる場所があります。次に、その後落ち着ける空き家物件・公団住宅も日本中にあります。仕事は、原発を製造してきた大企業や電力会社の莫大な内部留保を提供させたり、各自治体が仕事起こしを本気で行えば、必ず作れます。そうして避難者が人間関係を維持できれば、避難のネックとなっている介護や子育ても、助け合って解決できるのです。

財源もあります。国は昨年度までの「除染」費用に3兆円以上を使いました。3兆円÷福島県民200万人は、一人150万円で、生活の初期費用が成り立ちます。つまり、帰還政策を避難政策に転換すれば、移住後も生活は維持できます。今も復興庁は、何十億円もの費用を福島安全キャンペーンに使っています。国の2017年度軍事予算は、過去最大の5.1兆円に上積みされました。それらを回せばより多くの人々が避難を実行できます。

3.11は、事故を起こした国家と社会のあり方を根底から見直し、命を最優先する社会に変える時でした。今こそそれを行う時です。私たちは今村発言に抗議し、国の責任で集団移住政策を東日本全体に行うことを要求します。そして東日本に残る皆さんが政府に集団的な避難移住を要求すること、自分たちの中でも避難を話し合い、動き出すことをお願いします。そうなれば私たちは今後も全ての避難者とつながり、支援と協働をしていきます。

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